益財団法人介護労働安定センターの調査によると、約6割の事業所が介護スタッフが不足していると回答している。さらに、7割を超える事業所が、採用が困難であると答えた。
介護業界は、失業保険や厚生年金などの福利厚生に加え、やる気さえあればブランクがあっても安定した雇用がある恵まれた環境だ。さらに、人手不足で有効求人倍率も非常に高く、キャリアを離れた人でも再び就職できる貴重な職業のはずだ。それでもあえて介護の仕事を選ばないのはどのような理由があるのだろうか。
介護職を選ばない理由として、約6割近い人が賃金が安いことを挙げている。どんなにやりがいがある仕事でも、給与が低ければ生計を立てていくことができないのだ。2000年に介護保険制度がスタートし、2012年までの間に介護職員の数は約3倍も増えている。上述した給与面で定着率が低いことから、2012年に介護職員の給与に加算するよう処遇改善加算が考案され、介護職員の給与は月に平均で約1万5000円アップしたことになる。
ただ、労働条件の不満のアンケートで、賃金の低さの次に身体的・精神的に仕事がきついことを挙げた人が約5割いる。少しばかり給与が上がったとしても、人手不足による職場環境の中でストレスを抱えている人が多く、そのような状況でサービス残業や休みが取りにくいなどの条件が加わると、仕事を辞めるという選択肢が浮かんでくることがうかがえる。2025年の超高齢化社会がまじかに迫っており、賃金を上げるだけではなく、職場環境を根本的に改善していくことが必要だ。